「リース」の金融機能、サービス機能を有効に活用できるリースの活用法についてご紹介します。
目次
リースにはアウトソーシング効果がある
事務負担の軽減
「事務管理の省力化が図れる」ことが、リースの大きなメリットです。
では、事務管理の省力化とは具体的にどのようなことでしょうか?
事業に使うための自動車を購入した場合の事務手続きは、次のようなものがあります。
1.自動車の選定
2.購入代金の調達・支払い
3.自動車の売買契約
4.車庫証明の取得、陸運支局への登録
5.自動車諸税の納税
6.自動車保険の契約
7.継続検査・法定点検の実施
8.タイヤ・バッテリー等、消耗品の交換
9.固定資産台帳への記載
10.減価償却の実施
11.自動車の抹消登録、廃棄
購入した場合はこれらの事務手続きを全てユーザーが行いますが、リースの場合は1の自動車の選定以外はリース会社に任せることができます。
このように、固定資産に係る事務をリースによってアウト・ソースすることで、社内の経営資源を本来の事業に集中させることができるのも、大きなメリットです。
銀行融資を受けるよりメリットが大きい
資金繰りの安定化
「設備導入時に多額の資金が不要である」ことが、リースの大きなメリットです。
銀行からの融資と比較して、リースの利用には次の利点があります。
1.銀行には融資割合がある
銀行融資の場合、機械や設備の価額の70%から80%までの金額で融資が行われることが一般的ですが、リースの場合、リース物件の購入代金の全額をリース会社が支払います。
2.リースは担保を求められない
銀行融資の場合、不動産などの担保を要求されることがあります。一方、リースの場合、リース物件の所有権はリース会社にあり、実質的にリース物件が担保になっていることから、担保を求められることはほとんどありません。
3.資金管理が容易である
リース料は定額です。一方、銀行融資は金利が変動したり、融資元本の減少にともない利息額が変わることで返済額は一定ではないので、リースのほうが資金管理は容易となります。
このように機械や設備を導入する場合、リースは銀行融資に比較して、金額や条件面で有利ということがいえます。
リース期間を経済的耐用年数に合わせる
陳腐化リスクの回避
陳腐化とは、「ある製品や設備が時代遅れになったり、効率が悪くなったりしたため、価値が減少してしまうこと」(大辞林)です。
機械や設備は使用していくにつれ、摩耗や故障によって使用できなくなる物理的な寿命がありますが、技術革新の激しい現代は、物理的な寿命を待たずに「陳腐化」してしまうことが多くなりました。(この陳腐化してしまう危険のことを『陳腐化リスク』といいます。)
陳腐化した機械や設備は収益を生まないにもかかわらず、会社が所有しているというだけで、減価償却費や固定資産税などのコストが発生します。このように、機械や設備が陳腐化してしまい、コストが発生することは、陳腐化リスクが顕在化したといえます。
「設備の使用予定期間にあわせリース期間を設定できる」こともリースのメリットです。
リース物件の調達にあたって、陳腐化することが見込まれない期間内でリース契約を設定してリース契約を終了すれば、リース契約の満了とともにリース物件をリース会社に返却し、その後のコストも発生せず、陳腐化リスクを回避することを可能にしているといえます。
リース物件なら自ら廃棄処理しなくてよい
設備廃棄の負担軽減
日本における環境に関する基本的な方針は環境基本法で定められ、同法にもとづき廃棄物は適正に処理されなければなりません。そして、廃棄物処理法で、廃棄物の定義、処理の責任、処理の方法が定められています。
すなわち、「事業者は、その事業活動に伴って生じた廃棄物を自らの責任において適正に処理」しなければならず、原則として自ら処理しなければなりません。ただし、都道府県の産業廃棄物収集運搬業、産業廃棄物処理業の許可を受けた業者に処理を委託することができ、その場合は、処理完了を確認するための産業廃棄物処理管理表(マニフェスト)を発行、回収、照合しなければなりません。
しかし、事業者の利用した機械や設備がリース物件であれば、ユーザーはリース会社にリース物件を返却するだけです。
リース物件については、リース会社が排出事業者として、廃棄物処理の手配や、マニフェストの発行などの煩雑な事務を専門的にかつ適正に行います。
このようにリース物件の負担が軽減されることー「環境関連法に適正に対応できる」ことがリースのメリットといえます。
メンテナンス・リースによる効率化
自動車をリースするならメンテナンス・リースがおすすめ
自動車をメンテナンス・リースで調達することの最大のメリットは、金融機能だけでなく、サービス機能が手厚いことです。
すなわち、継続検査、法定点検、エンジンオイルやタイヤの交換などの手配・費用の支払い、スケジュールの管理をリース会社が行ってくれます。
これらの事務をリース会社にアウト・ソースすることで、ユーザーの事務の省力化を図ることができます。
また、メンテナンス・リースを利用することで、スケール・メリットを得られるというメリットもあります。リース会社は、自動車リースのために、多くの台数の自動車を購入したり、同様に整備点検も多くの台数の自動車を整備会社に委託しています。さらに、多くの台数の自動車保険もかけています。
つまりリース会社は、自動車メーカー、整備工場、保険会社から見れば大口顧客であり、有利な価格で製品を購入したり、サービスを受けることができます。これは、割安なリース料としてユーザーに還元され、個々に契約した場合には実現できないメリットといえます。
参考:六角明雄「図解でわかるリースの実務 一番最初に読む本」,株式会社アニモ出版,2014年8月,150ページ
まとめ
事業を営むために必要な資産の調達や維持・管理などの事務負担は欠くことのできないものであるものの、それを高い専門性を備えているリース会社へアウト・ソースすることができれば、事業の効率化に大きく貢献できます。
リースは新しい時代の事業展開にとても相性の良いサービスであると感じています。
リースの有効な活用を検討してみてはいかがでしょうか。